カウンセリング講座



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[177] 筋肉カウンセリングと呼ばれたケース

投稿者: 大森 浩 投稿日:2018年 8月16日(木)13時42分56秒 ONI-202-70-246-71.oninet.ne.jp  通報   返信・引用   編集済

    “筋肉カウンセリング”と呼ばれたケース

1,はじめに
 筆者が初めてアドラーギルドでスーパービジョンを受けたケースです。
 クライエントは高校1年、授業を担当しているクラスの男子生徒です。教室の後ろの隅の薄暗い席に、いつもボーッと座っていて、土色の顔をしていました。授業中しばしばトイレに行きました。欠席・遅刻が多く、1学期末が近づいて出席時間数が気になり、クラスメートにたずねると、彼は工業高校でなく普通科の進学校に行きたかったそうで、この学校が嫌なのではないかと話してくれました。
 2学期になってまもなく、担任から、母親を呼んでいるので会ってほしいと依頼されました。母親の話によれば、父親が警察官で何かにつけ口うるさく、箸の上げ下ろしにまで注文をつけるとのこと。そのため子どもが神経質になってしまったそうです。
 翌日から、生徒本人のカウンセリングが始めました。

2,カウンセリングの経過
 ケースはPOSシートの形式で報告します。守秘義務の関係で、名前はすべて仮名とし、またケースの特徴を損なわない範囲で内容を大幅に改変してあります。

◆クライエント名:高松仁志(仮名 16歳)
◆同居家族
 父親(43歳)、母親(40歳)、クライエント(以下CL 16歳)、妹(-2歳)、弟(-4歳)

【1回目】
>> 状態記述 <<
記述診断:□健常 ■神経症的 □精神病 □身体病 □非行 その他
対人問題:■親子関係 □夫婦関係 □対人関係一般 その他
面接形態:■個人 □夫婦 □全家族 □集団 その他

<Subjective Ploblem>(以下<S>)
#1 主訴
 高校受験準備を始めた去年11月頃から、朝になると下痢してトイレに駆け込むようになった。息苦しくて部屋にうずくまることもたびたびあった。
 入学後も症状は続き、病院で消化器・循環器等あらゆる検査を受けたが、異常はなかった。その後、肛門から粘液が出て困ったので医者に診てもらったら、「しばらく苦しみなさい」と、意味のわからないことを言って何もしてくれなかった。
<それでどう思った?>(以下、カウンセラーの発言は<>で示す。)
 他のことはともかく、粘液はほんとに出ていて困るので、これだけでも何とかしてほしかった。
<これまでに似たようなことは?>
 中学の卒業式のとき、急に腹の調子が悪くなったけど我慢していた。式が終わって家に直行した。すると母が帰ってきて、「どーして勝手に早く帰ったりするの!」と言われた。
<で、どんな気がした?>
 咎められたように気がした。

#2 最近あったこと
 おととい欠席した。最近、吐き気もする。朝8時から9時の間が一番苦しい。粘液も出る。起きた途端に苦しくなってトイレに走った。朝食を食べに台所へ行くと、妹と弟はもう来ていた。少し遅れて父が「お早う」と言って入ってきた。みんな「お早う」と応えた。他には、父とは何も話さなかった。
 学校へ行こうとすると、また吐き気がしてトイレにしゃがんだ。落ち着いてから母に、「今日は休む」と言うと、「そう」とだけ言った。昼前にはかなり楽になり、夕方にはすっかり良くなった。

#3 症状があるために困ること
①計算ができない。
②人の話を聞けない。
③ものを忘れる。
④トイレに通うのが煩わしい。

#4 治ったら一番に何をしたいか
①自転車で玩具屋や本屋に行きたい。
②プールで泳いだり、体を動かしたりしたい。そうしていると、肛門のことは忘れている。何もしないでいると、どうしても気にしてしまう。

<Objective Problem>(以下<O>)
 落ち着きがない。いつもおどおどしている。視点が定まらない。こちらが話しかけると、体がピクッと反応した。
 顔色が悪く、目のまわりに黒い隈ができている。声は小さい。服装はきちんとしている。

<Assessment>(以下<A>)
 病院の診断結果では異常がないので、今ある症状が対人関係の中で使われていることは間違いなかろう。
 前日の母親との面接で得た情報によれば、母親はCLが症状を出してからは、他の2人の子どもを放置して、CLの症状除去のために奔走している。母親は、夫が口うるさいので子どもが神経質になっていると言ったが、相手役はどうやら母親のようである。

<Planning>(以下<P>)
 きょうだい競合を知りたいので、次回は「家族布置」を聴取する。

<Supervisor's Comments>(以下<SVC>)
・躓いているのはどのタスクか?仕事のタスクではないか。それなら、運動能力を高める方向でカウンセリングモデルで行なう。(A氏)
・交友タスクではないか。それなら、友だち作りのスキルを学んでもらう方向で、カウンセリングモデルで進める。(B氏)


【2回目】(前回の4日後)
#1 乳児期の病気
 春休みに病院の先生から、「赤ん坊のとき自家中毒だったので、それで神経質になっているのではないか」と言われた。先生、そんなことってあるんですか?
<君はどう思う?>
 そんなことはないと思います。
<それで何か困ったという記憶は?>
 まったくありません。
<なら、関係ないと思ってもいいのでは?>
 はい。
<何か、症状があるんで、助かっているというようなことは?>
(<A>これは愚問。時期早尚で見事に治療抵抗に遭った。)
 ・・・・・・・・(長い沈黙)・・・・・・・・
<ごめん。話したくないことは話さなくていいです。きょうだいのことなら話してもらえる?>

#2 誕生順位ときょうだいの特徴
 自分(16歳)、妹(-2)、弟(-4)。
<妹は、子どもの頃どんな人だった?>
 覚えていない。……よくしゃべる。父に叱られたら、言い返す。よくあんなに言えると思う。うらやましい。
<弟は?>
 よくしゃべる。よく言い返す。母に口先でうまいことを言っては何か買ってもらう。自分は、貯めた小遣いで買うのに。
<君は親をあまりあてにしないで、自分の力でやるほう?>
 (にっこり)はい。

#3 きょうだい競合
 成績、外見、話がうまい、しっかりしている、人の悪口を言う、反抗的などで、弟がトップ。
 運動能力、友だちが多い、明るい、積極的、努力家、きっちりしている、意志が強いなどで、妹がトップ。
 手先が器用、引っ込み思案、従順、まじめ、慎重、神経質、堅実などは、自分がトップ。
 小学校の体育の成績は、1妹~2弟~3自分の順。
<競争したのはどんなことで?>
①運動能力。
②ファミコンゲーム。
 旅をするとき、自分は、傷を癒す魔法使いを大勢連れて出る。弟は、魔法で相手そのものを攻撃しようとする。味方の安否は考えない。

#4 ウエイトトレーニング同好会の勧め
 体を鍛えたいという希望に応えて、筆者が顧問をする「ウエイトトレーニング同好会」への入会を勧めたら、快諾した。

<O>
 時間どおりに入室。目が澄んできて、前回ほど顔色も悪くない。授業のとき、教室で様子を見たら、ずいぶん存在がはっきりしてきた。

<A>
・クライエント自らが乳児期の病気の話をしたのは、原因探しをすることで、今の自分の責任を免れるためか。
・今回は、前半で強い抵抗に遭った。これは強烈な解釈投与をこの段階で行ったため。
・運動能力について語るときは、積極的になった。父親が警察官であることも考慮して、この家の家族価値として、運動能力が優れていることをあげてもよいと考えられる。
・競合相手は主に弟である。

<P>
 親子関係の様子を聞く。

<SVC>
・性急に進みすぎである。もっと、ラポールづくりに努めること。(A氏)
・今の状態でクライエントを勇気づけできることを探すこと。例えば、学校へ来ていること、ウエイト同好会に入ったことなど。
 粘液対策を話題にする。生理用品、洗浄器などのPRもする。繊維の多い食事に改善することも。
 スクールカウンセラーの役割は、ケースワークをすること。つまり、カウンセラーが解決に乗り出すのではなく、すでに動いている社会資源につなぐこと。この場合は、ウエイト同好会への入会がそれにあたる。
 学校で、カウンセラー自らがカウンセリングをすることの害は、まず、クライエントとカウンセラーが校内で孤立して、被害者同盟ができる。さらに、カウンセラーは結局、学校側の代弁者とならざるをえないので、結果的にクライエントを圧迫することになりかねない。(野田先生)


【3回目】(前回の8日後)
<S>
#1 トレーニングプラン
 おとといジムへ行った。靴を忘れたので、40分ほどやって帰った。脚に意外なほどパワーがあることがわかった。明日からできれば毎日通いたい。
<毎日やれば、3か月もすると見違えるようになるよ。ただ、同じことを繰り返すよりも、きちんとプログラムを組んでローテーションしていくほうが、より効果的です。何かわからないことは?>
 大腿の裏側の筋肉が固くならない。どうしたらいいですか?
<レッグ・カールという種目があるので、明日ジムで直接教えてあげましょう。

#2 粘液対策
 夏に医者から、「肛門の粘液は出るのが当たり前で、出ないと大便が詰まってしまう」と言われた。自分の粘液は無色透明だから、パンツにシミなんか残らない。気になるときはティッシュを詰めている。一度、紙が硬すぎて肛門が切れたことがあった(笑い)。人によっては、ズボンが濡れるほど多く出るそうだが、自分のはせいぜいパンツまで。前は、授業中我慢できなくて、トイレへ行かせてもらっていたが、今は次の休憩まで待てるようになった。運動していると出ない。特に水泳をしているときはまったく出ない。
<今日は、体育祭の準備がこれからあるので、時間が少ししかないけど、何か話しておきたいことがあればどうぞ。>
 またファミコンの話ですが、弟や妹は兵隊8人全部使うが、自分は意のままに使いこなせる2人を有効に使う。攻め方も弟はメッタ打ちにするが、自分はまず守りを固めて、自分の体力をチラチラ見せて、敵をおびき出して、引っかかったとき叩く。以前は、弟に負けてバカにされた。その晩は、夜中にひとりで練習した。近頃勝てるようになった。自分が勝つと、弟は怒って出ていく。弟は、ものの言い方が父にそっくりで恐かった。子どもの頃は2人とも父そっくりの顔をしていた。今はかなり違う。いつ頃からか、何事でも優れているように思えたが、今はかなり追いついたように思う。
 プラモデルの作り方も違う。弟は、マニュアルどおりにしか作らず、仕上がりも雑。手に糊や塗料が付くと嫌がる。自分は、マニュアルも見るけど、いろいろ工夫して、他から部品を持ってきたりして、独創的なものを作ります。仕上がりも丁寧で、その代わり手はいつも塗料で汚れていました。本でも、一度読むとそれっきり。自分は、同じ本でも何度も読む。
<今日はたくさん話してくれてありがとう。さっきのゲームはなんて言うの?>
 ストリートファイターⅡです。

<O>
 ためらいながら話すことがなくなった。顔色がとても良い。催促しなくても自分からどんどん話してくれる。それも嬉しそうに。

<A>
 今日は体育祭の準備のため、開始が遅くなった。それでも約束どおり来室した。粘液の話をとてもフランクにするし、他の人に比べて自分のはさほど大したことはないので、何とか対処できている、と受け取れる。ゲームやプラモデルの話を生き生きと語った。ゲームやプラモデルの話から、クライエントと弟のライフスタイルの違いがよく読める。
 体育祭の出場予定がなかったのを、急遽、綱引きに加えてもらったそうで、ここにも好転のあとが見られる。こうした改善の方向にあることを、クライエントに伝えるのは勇気づけになるだろうか?
 ラポールと勇気づけに専念していると、クライエントのほうから熱心に語ってくれることがよくわかった。

<P>
 トレーニングプラン作りの援助をする。

<SVC>
 このケースは、カウンセリングで進んでいるのか、ケースワーキングで進んでいるのか、はっきりしない。
 クライエントの行為が改善の方向にあることを伝えるべきかどうかの疑問について。
 ひと言言って様子を見るのもよいが、疾病利得があるかどうか、クライエントの行為との兼ね合いで判断すること。うかつに「よくなりましたね」と告げると、症状悪化を訴えてくることがあるので要注意。(野田先生)


【4回目】(前回の1週間後)
<S>
#1 粘液について
 このところ、粘液の量が増えてきている。そして、朝8~9時の間がつらくて仕方ない。学校でも授業時間は我慢しているが、休憩になると尻に挟んでいるティッシュの濡れたのを交換するためにトイレに走る。午後は楽になり、運動中は感じない。
 トレーニングには毎日行っている。授業も休んではいない。少し遅刻があった程度。今の学校はそんなに嫌というわけではない。

#2 中学時代の学業成績
<成績のほうでトップにはならないで、人並みで卒業できればいいということかな?>(認識反射あり)
 そうです。中学2年までは、全科目平均90点くらい取っていました。ちょっと維持するのが苦しくなって、3年生の夏頃に平均80点くらいになるまで手を抜きました。その頃、母が市内の有名普通科高校か国立工専へ行かせようと圧力をかけてきました。普通科も工専も行きたくなくて、勉強をぴたっとやめました。それでも内申がいいと、普通科へ行かされるので、教室の窓ガラスをわざと割って、担任の評価を落とすようにしました。
<腹が痛くなりだしたのはその頃から?>(認識反射あり)
 そうです。おかげで成績はどんどん下がり、結局担任が母を説得してくれて、この学校を受けることになりました。でも、粘液が出るようになりました。
<元気いっぱいでいると、お母さんが、この学校でトップになることを要求するでしょうか?>
 (笑いながら)すると思います。
<もしかしたら、1年棒にふっても来年普通科を受け直せと言われそうなのでは?>(認識反射あり)
 大ありです。
<じゃあ、粘液がお母さんの攻撃から自分を守ってくれている……>
 (笑い)口ではとても勝てないもの。

#3 母親について
<お母さんてどんな人?>
 ポンポンまくしたてます。
<妹や弟は、口で張り合える?>
 そう。自分は、何も言い返せない。小学校のとき、ある有名な塾のことを学校で聞いたけど、母に知れるとそこへ行かされそうなので黙っていた。後で知れて、「なんで言わなかったの!」と責められた。でも一言も言い返せなかった。
<中学の卒業式のときも似てるね。>
 はい。

<O>
 顔色は良い。目も充血していない。身だしなみは相変わらずきちんとしている。眼鏡をはずしていた。

<A>
 粘液の量が増えたと切り出したので、ドキッとした。いよいよ整理用品の出番か。それにしても、学校ではどんどん平気になっているのに、朝方特に具合いが悪いのは、母親に向けられたサインと推察して間違いなかろう。
<人並みに卒業できればいいか>の質問に認識反射があり、それから流れは一変した。あとは堰を切ったように、中学の成績と母親からの圧力について語ってくれた。これまでの症状のすべてが、母親に対する弁解として用いられていたのだろう。

<P>
 母親に「今の学校でなんとかやっていけそう」と言ってみてはどうかと提案したが、今、機嫌をそこねるとまずいので、しばらく様子を見るとのこと。母親の様子見という方針で、一致した。

<SVC>(すべて野田先生から)
・この回は、サイコセラピーになっている。が、人間関係がうまくいっているので、セラピーでかまわない。すでにケースワーキングとカウンセリングの段階は終了していると考えられる。タスクがうまくいっているから。
・今回、症状悪化について語ったのは、ここらで内面に向けてくれと訴えているのかもしれない。
・症状が、「母親への弁解」を目的としているのではなくて、むしろ、「自分のペースで生きること」が目的である。母親への弁解はその手段です。自分のペースで生きて、しかも母親も幸せになれる手段を考えるとよい。ベストは、今の学校に適応すること。帰宅したら、「学校が楽しかったー!」と言ってみるように助言するのもよい。
 実際は記録ほどすんなり進んでいるかどうかわからないが、ゲッシングも正対もぴたりと決まって、よい流れである。あと2,3回で終結するはず。
・「母の機嫌をそこねるとまずい」というクライエントへの勇気づけとして、「お母さん思いは良いこと」「自分で決められるのは良いこと」など。特に後者は大事。
・症状のほうは、自分で作ったりなくしたりできるのは便利なことだから、使わない手はないことを知ってもらう。


【5回目】(前回の1週間後)
<S>
#1 トレーニングの話
 トレーニングは、3週目に入った。日曜日以外は毎日行っている。肩と背筋を鍛える日が一番きびしい。スクワットは60kgで6回できた。

#2 教室での様子
 最近は、教室の居心地がいい。実習の時間には、同じ班の人とよく話をする。
#3 能力の変化
 持って生まれた(と思っていた)能力が後退して、最近新しい能力を発揮できるようになった。
<具体的に言うと?>
 中学までは、努力しなくても勉強でトップを取れた。今は、勉強は下がって、体を動かすことが得意になった。実習が大好き。この頃は、友だちを追い越す勢いで課題が進んでいる。
<今、成績はどのくらい?>
 1学期末に、赤点が3つ。保健、工業基礎、数学。
<それって、もしかして、合格点すれすれ?>
 (大笑い)そう。
<赤点を一番気にしたのは?>
 母です。で、つい最近ですが、どうやら来年普通科を受けさせることを諦めたようです。
<どうしてわかった?>
 製図検定に合格するように元気づけてくれたから。

#4 弟とのからみ
 このところ、ゲームでは弟に連勝している。そのため、弟とは戦闘状態です。同じ部屋で暮らす限界まで来ている。弟は派手に攻撃してくるが、負けるとすぐパニックになる。自分は少々負けても耐えて、反撃のチャンスを待つ。弟は妹と気が合うので、いっそ妹の部屋へ移ってくれるといい。弟が、嫌がらせに電気のスイッチを切ると、自分をブレーカーを落として応戦している。

<O>
 声に張りがあり、表情が生き生きしている。

<A>
 初めて症状の話が出なかった。昨年来の一連の症状は、母親に向けられていたことが、いっそう明確になってきた。クライエントもこのことを十分納得したので、次の段階へ一歩進めそう。

<P>
 母親や弟とのコミュニケーションを少しずつ改善していく。
 部屋替えについて親に提案したいと言うので、それなら弟の協力もあったほうが有利ではないかと言うと、「弟の手の内はよく知っている。今度ゲームに負けてやって機嫌を取る」と答えた。


【6回目】(前回の2週間後)
<S>
#1 トレーニングの話
 脚は、他の部員より強いことがわかった。スクワットは70kgが3回できた。レッグプレスは160kgができて、他の部員が驚いていた。これからは、腰の保護ベルトを使ってでももっと負荷を増やしていきたい。胸や腕は他の部員に遅れている。

#2 弟の話
 弟はこの頃、別のゲームに夢中になり、前に負けたことはもう忘れている。トラブルは少なくなり、穏やかに暮らしている。

<O>
 おびえた様子が完全に消えた。視線もきちんと定まり、顔色が非常に良くなった。よく笑う。

<A>
 今回も粘液のことは一度も話さなかった。ほとんどトレーニングの話。身体作りにますます意欲的になっている。学校は欠席も遅刻もまったくなくなった。担任教師が驚いていた。そろそろカウンセリングは終結か。

<P>
 胸と腕を鍛える方法を話題にするか。


【7回目】(前回の1週間後)
<S>
#1 トレーニングの話
<今日は何話そうか?>
 トレーニングのこと。胸が他の部員より遅れている。練習メニューを作ってあげよう。以下、トレーニングのレクチャー。
○「ルーの3原則」
1)筋肉は使えば発達する(能動性肥大)。
2)筋肉は使わなければやせて細くなる(非能動性萎縮)。
3)筋肉は過度に使えばやせて障害を起こす(過能動性萎縮)。
○トレーニングの3つの柱
1)練習
2)休息
3)栄養
○トレーニングと負荷の関係
 筋肥大には高重量・低回数がよく、パワーアップにはスピードを上げられる程度に重量を下げ、反復回数を増やす。持久性向上には低重量・高回数。

<次の日まで疲れは残らない?>
 (嬉しそうに)残ります。むしろ痛みが。
<それはトレーニング仲間では素敵なことですよ。no pain, no gainです。マニアになると、翌日痛くないと不満なんです。お腹は空きますか?>
 とても。家に帰ったら直ぐにラーメンやチーズを食べます。母に買っておいてもらいます。

#2 母親とのコミュニケーション
<お母さんにスポーツ向きの献立をしてもらいたい?>
(暗い表情になる)
<いい方法があるけどやってみる?>
 はい。
<簡単。「ただいまー。腹減った」とお母さんに聞こえるように大きな声で言う。食後に、「おいしかったー」と言う。できそう?>
 直接言うんでなかったらできそう。
<直接要求を言いにくい?>
 はい。
<お母さん思いかな?>
 うーん……。
#3 終結へ向けて
<後、何しようか?>
 弟とは、この頃仲良くやれている。粘液は最近寒くなってきて、何か蒸発していくみたいな感じ。パンツにシミのようなものはまったく残らず、スーッと消えていく感じ。ただ、あとで少し冷たく感じるのがイヤと言えばイヤ。
<メンソレータムを塗ったような感じ?>
 ああ、そうです。だから、そんなにイヤでもない。
<粘液が、自分のプランを親にわかってもらうために役に立ったと思う?>
 (大笑い)
<じゃあ、完全に止めたりしないで、必要に応じていつでも使えるように、少し残しておかない?>
 (大笑い)(力強く)だいたい今は、自分のペースでやっていけそうです。
<それならいつでもカウンセリングは終わりにできます。来週はどうしますか?>
 もう1回お願いします。

<O>
 今も、母親に直接要求を言うのは困難らしい。今回は粘液の話をさらりと、ほとんどこだわりなく話した。

<A>
 CLに話題を決めてもらうと、カウンセリングが順調に進む。久しぶりに粘液の話が出たが、とても軽やかに語られ、すでにこれが主訴でなくなっていることを感じさせた。野田先生のSVCどおりに終結に向かえそうなので、先生の千里眼に驚く。

<P>
 いよいよ終結へ。


【8回目】(前回の8日後)
 予約は前日であったが、クライエントはそれを忘れていて授業が終わるやいなやジムへ直行していた。筆者とロッカールームで出会って、予約のことを話して大笑いとなった。

<S>
<話したいことが何か残っていますか?>
 いいえ、何もありません。一刻も早くトレーニングをしたいです。
<長い間、ご苦労様でした。>
 どうもありがとうございました。

<O>
 動きが飛ぶように敏捷になり、終始にこやかな表情が印象的だった。

<A>
 2か月前の暗いおびえた態度がすっかり消えて、まるで別人のようになったので、担任が驚いた。2回目のSVCに従って、ひたすら人間関係づくりに努めた。カウンセラーとしては、ほとんど何もしないで、ただ筋肉づくりのアドバイザーとしてかかわった。すると事態が一変した。粘液症状の意味が母親の圧力から脱して自力で歩むためのものであったことを理解するにつれて、症状は軽快し、8回目には全治していた。

<SVC>
 カウンセラーは最後は見捨てられるのが、良い終結。そっけなく終わるのがよい。「先生のおかげや、ありがとう」と言うのは、また来る可能性がある。カウンセリングは、クライエントにとっては人生の中では消したい記憶だから。(野田先生)


3,考  察
 筆者にとって、アドラー心理学にもとづく初めてのケースでした。何しろ1か月前にカウンセラー養成講座を終えたばかりの新人で、初めは手探りでやみくもに進めていました。
 カウンセリング初期の、人間関係づくりをすっ飛ばして、いきなり「ライフスタイル調査」にかかっていたところを、A氏から指摘され、次の回からはペースを落として、こちらから話題を設定するのをやめてみました。すると、毎回クライエントが話題を選んで生き生きと語ってくれるようになりました。「症状に注目してはいけない」を肝に銘じて、クライエントが興味を持っているゲームや体づくりの話を興味深く聞いていると、最初深刻だった症状の訴えが次第に減少し変化してきました。トレーニングでパワーがつくにつれて、ほとんど症状の話題は出なくなり、弟の激しい競合が緩和していきました。
 4回目はサイコセラピーになっているという指摘を受けましたが、この時点の自分の力量では、それと気づいてもいませんでした。野田先生もおっしゃったように、クライエントとの人間関係づくりが良好だったので、たまたま成功したものと思います。
 カウンセラーとして、クライエントの症状の訴えやネガティブな感情にふりまわされないようますます修業はしていくものの、真にクライエントが求めているものを、求めている援助を、自分の思いこみで見逃さないように敏感でありたいと願っています。
 さて、クライエントはその後、2年生3年生と無遅刻・無欠席で登校しました。他の部員の追随を許さない熱心なトレーニングの成果を上げ、卒業時には大人顔負けの立派な体格に成長していました。


4,謝  辞
 このケースのスーパービジョンは、初回と最終回は筆者が事例検討会に出席して受けましたが、中ほどの3,4回目は記録用紙を送り、筆者不在で助言はテープに収録したものを返送していただくという形になりました。
 野田俊作先生をはじめ、参加の皆様による暖かなコメントに大変勇気づけられました。また、POSシートも初めての使用で不備な点が多々あり、鎌田穣さん、高橋さと子さんから、懇切丁寧なご指導をいただきました。心からお礼申しあげます。


5,参考文献
○野田俊作監修(1986)、実践カウンセリング、ヒューマンギルド出版部
○氏原 寛・山中康裕 編(1991)、症例研究 寂しい女、人文書院
○国分康孝 編(1990)、カウンセリング辞典、誠信書房
○国分康孝(1981)、カウンセリング・マインド、誠信書房
○小山裕史(1991)、新トレーニング革命、講談社




[176] ファミリーカウンセリング

投稿者: 大森 浩 投稿日:2018年 8月13日(月)08時16分30秒 ONI-202-70-246-71.oninet.ne.jp  通報   返信・引用   編集済

     Guiding the Family(ファミリーカウンセリング)
     副題:Practical Counseling Techniques(宮野栄 訳)
   ↓
http://www2.oninet.ne.jp/kaidaiji/family-coun-0.html



[175] 開き直っている子ども

投稿者: 大森 浩 投稿日:2018年 8月11日(土)08時02分28秒 ONI-202-70-246-71.oninet.ne.jp  通報   返信・引用

    Q92
 15歳長女のことです。高校1年生です。タバコ・お酒・外泊がだんだんエスカレートしている。遅くなるときは電話連絡するように言っているが連絡してこない。言葉の悪さにあきれる。父親は娘に対して「信頼している」と言っている。先日、あまりの悪さに手を上げたが、子どものほうは開き直っている。どうすればいいでしょうか?子どもと話し合いをしようにも聞こうとしない。

A92
 ああ、親が嫌われているんだ。まず、なんで嫌われたかを分析するのをやめること。好かれることをする前に嫌われることをやめる。親が毒ガスを撒いたので子どもが失神しているのだから、酸素吸入する前に毒ガスの元栓を閉める。毒ガスの元栓はどこにあるか。ここ(おくちmouth)にある。
 2,3か月間、父も母も口に絆創膏を張って、手もガムテープで縛って暮らす。子どもに嫌われない状態になったら、今度は好かれるための相談ができます。



[174] 統合失調症者の社会復帰

投稿者: 大森 浩 投稿日:2018年 8月 9日(木)08時47分58秒 ONI-202-70-246-71.oninet.ne.jp  通報   返信・引用

    Q91
 統合失調症の人が社会生活、例えば、職を持って給料をもらうことは可能かと、自立できるかどうか教えてほしい。

A91
 本人が望んでいれば可能ですね。私(野田)の患者さんは、外来精神障害者です。病院に入るほどのことはないし、でもやっぱり病気という人たちです。彼らはたいてい働いている。生活保護を勧めても、「頑張って働く」と言う。それは医者が援助しているからでなくて、働いて暮らしたいと思っている人だから働いているんです。
 ご本人が望んでいるなら、適切なアドバイスをすればできるし、ご本人が望んでいなければできない。別に望んでいなくてもかまわないです。精神障害の人が働かないで暮らしていても、もし家族がそれで経済的に困らないなら、一生養ってあげればいいじゃないですか。家族がいなくても、国が精神保健法とか生活保護法とかを使って、その人たちを養ってあげればいい。アドラーも言っている。文明人が未開人と違うのは、そういう精神障害者・身体障害者を、働かなくても養ってあげる力があるということで、それが文明というものです。
 その人たちが働かないでおくと言うなら、障害者なんだから無理やり働かせなくてもいい。だいたいそれで失敗するんです。働きたくない障害者を何とか、「自立=社会復帰=職に就くこと」と考えて、働かせようとしてまた発症する。それはまずい。



[173] 友だちと仲良くしてほしい

投稿者: 大森 浩 投稿日:2018年 8月 7日(火)09時07分50秒 ONI-202-70-246-71.oninet.ne.jp  通報   返信・引用

    Q90
 友だちと仲良くしてほしいと思うのに、すぐ喧嘩してしまい、なかなか落ち着く場所を得られない子がいるんですが……。

A90
  この子、「仲良くしたい」と言っていますか?本人が。子どもが望まないことを援助できない。子どもが、「友だちと仲良くしたいのにすぐ喧嘩してしまうんだよう。どうしたらいいだろう」と言ったら、相談できるかもしれないが、子どもがどう思っているかわからないから、まずそこを確かめたい。これを“目標の一致”と言う。目標が一致してないと援助できない。
 もしも一致したら、仲良くなりたいんだったら、「いつも、これをするとあの子と仲良くなるかな、喧嘩になるかな、と考えながら暮らしたらどう?」と助言します。



[172] 家族を信頼できない子への対応

投稿者: 大森 浩 投稿日:2018年 8月 6日(月)08時15分4秒 ONI-202-70-246-71.oninet.ne.jp  通報   返信・引用

    Q89
 「家族を信頼できない子の人生は立ち直りが難しい」と言われましたが、そういう子に対して周囲の大人、教員に何ができるでしょうか?

A89
 そこまで言ってないと思いますが、同じことです。どんな場合も、その子が「人々の役に立つ力がある」と感じられるように、「他人は信頼できる」と感じられるように接すればいいのです。
 精神科の患者さんは100%、「私は役に立たない。家族は信頼できない。人々は敵だ。この世は危険な所だ」と思っている。では精神科医が会っても無駄かというと、そんなことはない。時間はかかるかもしれないけど、自分のことが信じられるように、自分は役に立てると感じられるように、人を信頼できるように働きかけていく。家族がちゃんとやってなかったということは、教師や治療者の仕事、やることはたくさんあるということだから喜びましょう。



[171] アドラーの言うとおりにできない

投稿者: 大森 浩 投稿日:2018年 8月 4日(土)09時05分13秒 ONI-202-70-246-71.oninet.ne.jp  通報   返信・引用

    Q88
 アドラーのとおりにできないことがストレスになります。

A88
 はい。私もなります(爆笑)。スポーツに例えると、強打者は打率3割と言うが、それは、ピッチャーが投げたボール3つに1つ打っているわけではない。1打席10球くらい投げるから、それの3つに1つ、つまり30に1つしか当たらない。それで強打者と言われる。その人たちもときどきスランプに陥る。悩む。また立ち直ったりする。アドラー心理学も一緒です。100発100中は当たらない。失敗もする。ムカつきもする。子どもにひどいことを言うかもしれない。
 人間は神様ではないしロボットでもない。中間へんの大変不完全な存在ですから、当然そうです。子どもに悪いことをしたと思ったら、「ごめんね」と謝ればいい。あのやり方は悪かったと思えば次からやめようと思えばいい。
 ずっと一生アドラー育児のほうに向かって生きていけばいい。アドラー育児が完璧にできているというのはそれは無茶です。



[170] 集団の中に溶け込めない

投稿者: 大森 浩 投稿日:2018年 8月 2日(木)09時17分55秒 ONI-202-70-246-71.oninet.ne.jp  通報   返信・引用

    Q87
 最近、7人の仲間と外国に研修旅行に行きましたが、予想していたのと違い、緊張のなかなかとれない自分がそこにいました。まわりの仲間を見ると、自分とは違い、すっかりリラックスしてすべてを心から楽しんでいるように見え、そのギャップに劣等感を感じてしまいました。そうすると自分に自信がなくなり、話をすることが恐くなり、黙ってしまいがちになるという体験をしました。
 このときの感じって、35~40年くらい前に、1~2年で転校して(小学校から高校まで)新しい学校で過ごしたときと、同じような感じだと気がつきました。こういうことは関係があるのか、それとも、私がこじつけて理由づけをしているのか、よくわからなくなっています。

A87
 こじつけてというのも変だけど、アドラーはこう言っています。「記憶は、現在の目的に応じて思い出される」と。だから、昔その出来事があったから、現在があるんじゃなくて、「現在こうだから、これに関係のある出来事はあったかな?…ああ、あれだ、あれだ」というふうに思い出しているんです。だから、記憶が原因で現在が結果じゃなくて、現在が原因で記憶が結果なんです。
 記憶なんかにこだわらないで、「じゃあ、代わりに今何をしたらよかったのか」を考えてみればいい。いつもアクション、体が何をするか、言葉が何をするか、筋肉が何をするかが、自分と世界を変えていくんです。いくら考えたって無駄です。考えは必ずしも外の世界を忠実に反映していません。「こうやったら、うまくいくはずだよ」と言っても、うまくいかないことはいっぱいあります。
 私は、理科系大学の出身ですから、大学生の間も、大学を出てからも、“実験”をよくやりました。“実験”というのは、自分でまず計画を立てます。「こうこうこうしたら、こうなるんじゃないか」と思う。でも、実験したら全然そうならない。全然そうならないから実験するわけじゃないですか。実験する前に考えて、こうやったらこうなるはずだとわかって、そのとおりになるんだったら実験しなくていい。
 人間関係もそうで、「こういうふうにやってみたらどうだろうか、ああだろうか」と考えてみたことは、実験してみないとアテにならない。例えば、子どもがご飯をしっかり食べてくれて、「まあ、全部食べてくれてありがとう」と言うと、きっと子どもは喜んで、勇気づけられて、お母さんにニコッとするだろうと思った。そこで、子どもがご飯を食べたときに、「まあ、全部食べてくれてありがとう」と言ってみた。ところが、実際には、「これが悩みなんだ。これでまた太るんだよ」と、子どもは言うかもしれない。あるいは、「食べてくれてありがとう」と言うと、憎たらしいことに、「お前に感謝される筋合いはない。俺が勝手に食べたんだ」と言うかもしれない。
 実験しないとわからない。失敗だったら、また別のアクションを考えればいい。人間関係というのは、そうやって変わっていくんだと思います。
 こういう、集団の中に溶け込めないというのは、今まで見ていてだいたい答えはわかります。100%そうではないかもしれないけれど、たいていは人の話に興味を持たない人がこれに陥る気がします。みんなと一緒にいて、自分が何かしなくてはいけない、自分がイニシアティブをとって、面白いことを言うとか、みんなを笑わせるとか、みんなに聞いてもらうとかしないといけないというところで苦しんでいるみたいです。それをやめればいいんです。
 他の人たちの話を、興味を持って聞くお稽古をすればいい。だから、海外旅行に行ったのなら、旅行先で、「今日、どうだった?」と聞きます。そしたら、誰かがしゃべるでしょう。「そうかそうか、そういう見方もあるんだ。自分は見逃したけど、他の人はそんな体験をしたんだ」「あそこはそんなに良かったのか」とか、そんなふうに人の話を面白がって聞いていると、必ずとけ込めるようになります。
 人の話を聞く力というのは、すごく大きな力です。アドラー心理学を学ぶと、だいたい最初に1つの技術として、聞き上手の技術として、人の話の聞き方を学ぶけれど、技術よりももっと向こうにある、他の人の話に興味を持つこと、アドラーが言ったとおりに言えば、「他人の関心に関心を持つこと」を、われわれは学んでいかなければならない。「他人の関心に関心を持つこと」というのは、アドラーが言った“共同体感覚”という言葉の1つの定義です。
 私は、電車の中でも、隣に座ったおにいちゃんとおねえちゃんが話しているのを結構盗み聞きしています。面白いことを言っています。人間がしゃべっていることって、とても面白いことが多い。だから、家族が話していることとか、おじいちゃんやおばあちゃんが話していることとか、いろんなことを一生懸命聞きたいと思います。
 私は釣りが好きですが、今の季節、3月1日から9月30日までは、渓流で釣りをしますから海には行かないんですが、10月1日から2月28日までは禁漁期になるので、海に行きます。渓流では1人で釣りをしますから、誰とも会わないけど、海にはたくさんの人がいます。海に行って波止場にいると、いっぱいおじちゃんたちが釣りをしていて、これが面白い。何か、「ああでもない、こうでもない」と話している。
 だいたい、おじちゃんたちは家で邪魔にされています。奥さんとか子どもたちに放り出されて、みんな行くところがないから、しょうがなくて波止場に来て、釣れもしない魚をじっと待って、その間暇だからみんなでおしゃべりをしている。そのおしゃべりを聞いています。そんな波止場にいると、身分・階級がない。大工さんでも、日雇い労務者のおじさんでも、お医者さんでも、学校の先生でもみんな平等、同じ釣り人。そこでの話って、まあみんな1杯飲んで話をしてるし、ちょうど立ち飲み屋で話をしてるみたいで、たとえ何も釣れなくても、1日おじさんの話を聞いているの、好きです。この間、沖縄で釣りをしました。そしたら、沖縄の人って、方言で話すから、残念なことにひと言もわからなかった。
 他の人の話に関心を持つ。つまんない話をみんな一生懸命しているのは、きっと面白いからで、それを聞くというお稽古をすると、集団に溶け込めるようになると思う。子どもたちも集団に溶け込めないで悩んでいる子がわりといるので、みんなそうやって教えます。自分で何かしようとするんじゃなくて、相手のお話を、とにかく面白がって聞くというのをお稽古してみましょう。



[169] 夫とはうまくいくが、息子とうまくいかない

投稿者: 大森 浩 投稿日:2018年 7月31日(火)08時30分19秒 ONI-202-70-246-71.oninet.ne.jp  通報   返信・引用

    Q86
 夫との協力関係は良いと感じていますが、息子(21歳)とはなかなかうまくいきません。考えながら、できる限り仲良くなれるように努力したいと思っています。

A86
 女親に対して、20歳代の男の子があまりなつかないというのは、正常なんです。なついたって別にいいけど、でも、なるべく距離をとっておきたいと思う子たちがいます。それは、大人になるために必要なことみたいです。他に女の人、ガールフレンドとか奥さんとかができて、もう少し大人になったら、母親とまた違う関係を持てるようになります。だから今、20歳代の男の子としっくりいかないのも、あんまり急いで努力しないほうがいいと思う。そんな発達の時期です。
 女の子だって、高校生くらいから25歳くらいまでは、父親にあまりなつかなくても、そう不思議じゃないでしょう。うちはよくなついています。うまく躾けたなと喜んでいます。でも、なつかなかったとしても、そう動揺することはなくて、異性の親に対しては、そういう時期に少し距離をあけたくなる子どもたちがいるんです。それは、彼らの発達のために大事なことだと思うから、慌てないでもう少し時を待ってください。



[168] 子どもの内面を理解できない

投稿者: 大森 浩 投稿日:2018年 7月29日(日)08時29分38秒 ONI-202-70-246-71.oninet.ne.jp  通報   返信・引用

    Q85
 最近、子どもの内面に秘められている心を理解できなくて悩んでいます。日ごろの関係の至らなさとは思いますが、どんな話しかけをしていったらいいのかわからないので、よろしくお願いします。

A85
 内面に秘められた心は、たぶんないと思う。あるかもしれないけど、たぶんないほうに賭けます。
 親に話をしないということについては、2つ理由があります。1つは、何も考えてないからで、もう1つは、考えてるけど、親に話すともっと事態が悪くなると思っているから。そのどっちかです。
 どっちにしても子どもは、さしあたって自分の力でやっていこうとしているんです。だから、子どもが自分の力でやっていくのを信頼しましょう。親子関係が変わってくると、話してくれることもありますしね。
 高橋さと子さんのところにも3人子どもがいて、その子たちが順番に石垣島でお母さんがスマイル(「パセージ」の前身)をするのについて行ってます。一番上の子は27歳かな?今回は、一番末のお嬢ちゃんが来ていて、彼女は22歳じゃないかな?それくらいの年齢の娘さんが、母親と一緒に遠いところに旅行に行くというのは、これはちょっと素敵なことだと思いませんか。萩昌子さんのところは、今度息子と一緒に、モルジブへダイビングに行きます。この子も20歳になりましたが、20歳の男の子が母親と一緒にダイビングに外国まで行くというのも、すごい素敵なことだと思いませんか。娘さんはこの間、お母さんと一緒にスペインに行きました。遊び回っていますね、この母子は。
 そういう関係になるには、長い時間の積み重ねがあって、本当に横の関係でつきあっていて、親に言っても助けにはならないかもしれないけれど絶対に邪魔にならないと、子どもが確信しているんです。アドラー心理学をしっかりやれば、親は子どもの望まないことを押しつけない。それはもう、絶対確実だと思います。
 子どもを助けられないことはあります。例えば、子どもが恐喝に遭って2万円盗られて、すごく落ち込んでいる。そのときは助けられないんです。子どもが落ち込んで、「2万円も盗られちゃった」と言うと、「残念だったね」くらいしか言えない。
 よく考えてみると、子どもは別に、「助けてほしい」と言っているわけではない。ただ、「自分は2万円盗られて馬鹿だった。この次からは、2万円も持って歩かないようにしよう」とか、「ヤバいやつのいるところには、近寄らないようにしよう」とか、子どもが自分で勝手にいろんなことを決心していくのに、しゃべりながらのほうが決心しやすいから、私に向かってしゃべっているだけなんです。
 こんなふうに助けられないこともあるけど、でも助けられることもあります。うちの上の娘が、高校を出て専門学校に行きましたが、1年したらイヤになって、「お父さん、学校やめたいんだけどどう思う?」と言うから、「私がどう言うと思う?」と聞きました。すると、「やめてもいいと言うと思う」と言いました。実際私は「やめてもいいよ」と言って、娘は学校をやめました。
 どんなことであれ、子どもが決めたことに反対しないことにしているんです。極端ですが、ひょっとしたら、「自殺します」と言っても反対しないかもしれません。まあ、「自殺、退職、離婚はいつでもできるから、もう少し延ばしたほうがいいと思います」くらいは言うかもしれません。ですが、反対はしない。手伝えることがあれば手伝う。
 そのへんがはっきりしてくれば、子どもの話が聞けるんじゃないかな。何しろ、こっちがありがたい言葉をあげようと思っていると、子どもは話をしてくれない。子どもにとってはありがたくないからね。
 秘められた心なんてあるかなあ。言いたくない心はあるけど……。


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